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by under-heart
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MILLION DOLLAR BABY

大学に通って、友人、知人が増え、彼らを集めて、催しなどを企画するほど、充実していた時期があったのですが、自分をぶつけ時間を省みず生活している内に、気付くと周りはほとんど誰もいなくなり、卒業を迎えました。

そんな時期に、あたしの唯一の小さな楽しみは、早起きをして新宿の映画館に平日朝一番の映画を見に行く事でした。

新宿の朝はどんな天気でも決まってどんより曇り、朝を歓迎していません。どこか眠たげな繁華街に入り、ゴミ捨て場に積まれた大きな袋をいくつも通り過ぎながら映画館に向かいます。

この街はもしかすると日本で一番込み合う街なのかもしれません。その為の新宿の大きな映画館なのですが、平日の朝一の映画館は静かで空いていて、でも、前日の夕方からの大勢の観客の熱気が少し残っている様な気がして、それが、一抹の寂しさを纏ってのです。

前日は賑わっていたけれども、今は誰もいない。
その自分に似た寂しさは「もう、この時間は誰にも邪魔をされない。誰も入ってこない」という安心感と共感をあたしに与えてくれました。

新宿で見た最後の映画が「ミリオンダラー・ベイビー」でした。


前回の記事でも推奨した映画で、この度TV放送されました。
それをビデオ録画で本日見る事が出来たのですが、民放の為、吹き替えとCM、サイズ縮小とシーンカットの為、あの時の魅力は半分以下にされていたのですが、それでも、痛いくらいの衝撃がありました。

この映画は人間を見つめすぎている為に、地上波で放送されていいのか?と疑問に思うくらい真実を如実に写します。そこでは一つの強烈な人間が映し出され、しかし、その生き方は必ずしも正しくはなく極端に偏っている為に、製作者側も見る側の道徳や観念を信じ、強くテーマを訴えかけているのです。

この時代に生まれると、あらかじめ何もかも用意されている事が多いものです。
あたしはこの頃から、しかしそれは簡単に消えてなくなるモノだと感じ始めていました。

「自分を守れ」

イーストウッドのこの言葉は、人間はきっとずっと初めから何も持っていないからでしょう。
そして、守りたい事の出来たときの重要さも含み。

「Mo Chúisle」
by under-heart | 2006-12-11 23:25 | by the wey