えへへへへ


by under-heart
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タグ:都都逸 ( 4 ) タグの人気記事

おてもと

「いやだよ!ねぇ、いやだってば!」
「ばかやろう!オレだってなぁ!好きで離れ離れになるわけねぇじゃあねえか!でもよう、だったらどうしろってんだ、こんちくしょう!」

「ひどいよ、ひどいよ、あんなにあたしの事を愛してると言ったのは嘘かい?嘘じゃなかったらなんとかしてよ!いつまでも一緒にいておくれよ!」
「甘ったれた事ォいってんじゃねぇやい!オレもオマエも、命の宿命ってぇもんがあるんだ、いいか?宿命と書いて「さだめ」と読むんだ、ちっきしょう!」

「さだめと読もうが、たがめと読もうがどっちだっていいけどさ、あんたとあたしがここまでずっと一緒に、寄り添ってこれたのだって、宿命じゃないのかい?」
「おう!そりゃそうともよ!オレァ、オマエが生まれた頃から知ってらい。家が隣同士と来た日にゃあ、オマエの事は昔っから家族同然と見て来たわけだ。時には親として、時には兄として、そして、時に、男として、オマエをいつまでも傍に置くと決めたのよ」

「そうでしょ?その話だって何度聞いた事か!だったらなおさらあたしを離さないでおくれよ!」
「てやんでい!ばっきゃろうめ!オレァ、オレァ、そうしてえに決まってるじゃあねか!ただよぉ、オレたちにぁ、オレ達の役割ってぇもんがあるてえもんなのよ。見ねい?隣さんも、そのまたとなりも、きっちり布団に入っておとなしく待ってるじゃあねえか?いいかい?オレたちの故郷からの同胞も、いまじゃあ誰も見えなくなっちまったい」

「そうだねぇ、田舎を出て、この江戸の都まで、箱根の関を越えるか越えれないか。みんな、あの関で捕まって使われちまったからねぇ」
「ああ、あそこは宿場だからなぁ。次々とショッ引かれちまって、今や知れるはオレたち二人だけだ。だがな、それも一生だ。例えオレらが刀と生まれて来たならば、涙ながらも人を切らねばなるめえし、その為に力一杯光らなけりゃあならねえのよ!いいかい?少しの間だったが、オマエと一緒で幸せだったぜ。オレァこの一生に、悔いはねぇよ」

「そうかい、わかったよ。あんたの言う通りかもしれないね。あたしもあんたと一緒で、これ以上ないくらい幸せだったよ。ううん、嫌な野郎と思った事もあったさ。でもね、今になって思い出そうとしても、何にも嫌な事が出てこないんだよ。あんた、最後は、最後の最後だから、力一杯、抱いてもいいかい?」
「おう、そうしろい!オレだって意地でもオマエを離さねぇ気持ちで抱いてやる。結果、この布団ごと身ぐるみ剥がされっちまうんだ。宿命ってのに、少しだけでも逆らってやるってのも乙じゃあねえか」

「ああ!あんた!来たよ!いや!なにすんの!やめて!やめて!あんた!いやだよ!離すもんかぁ!アンタァ!!」
「ヤロウ、こんちきしょう!身ぐるみ剥がしやがったな!どうしようってんだい!え?離すもんかい!このやろ!イテテテテ!足ィ引っ張りやがって!この、イテテテ!くそ、離すか!いててててて!」

パチン



         「可哀そうだよズボンのおなら 右と左に泣きわかれ」



「くすぐってぇ!ばか!何しやがる、足に落書きしやがって。え?何?「王様」?おい、ちょっと、メシを食え!メシを!こらこらこら!割り箸はゲームの道具じゃねえっての!こら、おい、束にするなぁ!束に!おい!引くな!こら!騒ぐなーーーー!」
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by under-heart | 2006-12-23 23:02 | beyond description

わかってぇ?

「いや~ん、
だから言ってるじゃないのォ、あたしは何にも欲しいものなんか無いのよォ、ねぇ?わかってぇ?ただね、あたしのね、ママがねぇ?こないだも言ったでしょう?今ねぇ、病気で寝たきりなのぉ?アタチねぇ?仕事が終わると、ずーっとママの看病してて、寝る暇もないのぉ?わかってぇ?今のアタチのたった一人の家族なのよぉ?今も一人で、寒い病室で咳きをしてるわぁ・・。ううん、違うの、泣いてないの。そのママがねぇ?たまに、うわ言の様に言うのよ?ねぇ?
『私の昔の憧れの女優はね、ジェーン・バーキンとグレース・ケリーなのよ・・』
・・映画好きなママなのよ。そんなママにどうしてもプレゼントを贈りたいんだけど、何を贈っていいかわからないし、ママの入院費で精一杯の暮らしだし・・。ううん、違うの、泣いてない、でも、ちょっと、ごめんなさい・・。ねぇ?わかってぇ?ね?・・わかった?嬉しい!・・あ!はーい!ごめんなさい、指名入っちゃったのぉ。また来るからねぇ?ゆっくりしててねぇ」

「ありがと~う!こないだねぇ、ママぁ、すっごく喜んでてねぇ?病室の目の届くところにいつも置いててねぇ?看護婦さんにバッグを褒められる度に『娘のいい人にプレゼントして貰ったんです』なんてぇ、言ってるのよぉ?もお、ママったら、気が早いのぉ。わかるぅ?いや~ん、ちょっと、照れるわぁ!・・・ハァ、でもねぇ?昨日からママねぇ、ううん?ごめん、なんでもないの。こっちの事だから、・・ハァ、ごめんね。・・・ハァ。・・・ハァ。・・え?話してって・・。でも・・、せっかくなのに、悪いわよぉ、こんな話。・・そう?・・あのね、ママね、昨日から熱が下がらなくってぇ、それでね、アタチに言うのよぉ?ねぇ?わかってぇ?ずっと病院で寝たきりでしょう?だから、また、外に出てみたいわって、遠い目をしながら、弱弱しく言うのよぉ・・、ごめん、シクシク。それでも、あたしはどうする事も出来ないじゃない?せめて、車があればとは思ってもね、あたしにはそんな力は無いのよ・・、ねぇ?シクシク。アタチはママの為に車一つ買えないのよぉ?そんな事をねぇ、思うと、ねぇ?わかってぇ?あたしって、惨めよねぇ、そしてさぁ?情けない女なのよぉ、シクシク、シクシク。もうダメだ、あたし、田舎に帰ろう。田舎に帰って、ママと二人、誰もいないところで、ひっそりと、二人で、誰にも気付かれず、ひっそりと、・・え?わかった?本当にわかったの?え?嬉しい!あ!はーい!じゃ、ごめーん!指名入っちゃった。まったねー!」

「ああー!久しぶりぃ~!どうしたのぉ?納車の時以来じゃない?待ってたのぉ~よぉ~。もう!寂しかったのよぅ!わかるぅ?・・あれ?どうしたのぉ?ちょっとやつれたのぉ?元気ないねぇ?あれから車はチョ~調子いいのよぉ?えっとねぇ、箱根でしょう?草津でしょう?鬼怒川でしょう?下呂も、え?そ、そう?そうそう、だって、お母さん温泉好きだから!大丈夫、大丈夫、病は気からっていうじゃない?ねぇ?車が来たら随分気が強くなってねぇ?しかも、生きてるウチに、早くアタチのいい人に会ってみたい。お礼を言わなくちゃ、って、早く会わせろ会わせろって、うるさいのよぉ?ねぇ?わかるぅ?いや~ん!・・え?でもね、ほら、あたしも昼間看病とか家の掃除とか、ゴミ捨てとか、いろいろ忙しいから、その内、ね?わかってぇ?ねぇ?だから、会えないのよ?ね?会えないの。元気よ?たしかにね、元気なのよ?昨日までは・・。
昨日までは・・。ねぇ?昨日までは、の、話なのよぉ・・?・・ハァ。・・・ハァ。・・・・・ハァ。・・・今日は何も聞いてくれないのねぇ?ううん。いいの、わかってるの、アタチは店員であなたはお客様だもの。大切な、大切な、お・きゃ・く・さ・ま、だもの。そんな話は迷惑だって事、ごめんね、アタチのたった一人のママだから、ちょっと、寂しかっただけなの。わかってぇ?だけど、その寂しさを話せる相手はあなたしかいなかったのねぇ・・。ごめんね、結局、他人だもんね、アタチの早とちりよ。ルール違反よねぇ、ごめんね。わかってぇ?もう。言わないから。ね?ごめんねぇ?わかってぇ?ごめんねぇ?・・・え?聞く?話?聞く?え?ほんと?聞く?聞くのねぇ?
そうなの!アタチのママが昨日からねぇ?危篤なのよぉ?それで、アタチの手を握って言うのよぉ?かすかな声でいうのよぉ?ねぇ?わかってぇ?
『一度だけでいい、また、あんたと、二人で、自分たちの家に、家に、「家」に、・・・いや、「マンション」でもいい。で、暮らしたかったぁ・・』
でも、そんなこと無理だわー!あたしになんか、絶対無理だわー!うわーん!うわーん!これでこのまま、ママを失ったらもう生きていけなーい!うわーん!わかるぅ?今でさえ、看護疲れとこんな生活にもう、生きてる意味なんて解らないし、ママだけが支えなの。その、ママが、その、ママが、うわーん!無理だわー!わかってぇ?マンションなんて、無理だわー!え?何よ?いいの、まわりが見てようが何されようが、アタチの話を聞いたあなたのところで大声で泣きたいの。うわーん、うわーん、うわーん、うわーん!家、家、お家ー!うわーん!・・ええ!わかったぁ!ついに解ったのねぇ!うれしーい!!」




        『帯も出来たし箪笥もできた そろそろ旦那と別れよか』



「ええとねぇ、今度はねぇ、ママがねぇ、南の島でねぇ・・。え?何?電話ですか?はい。ちょっとごめんなさい・・・」
「なんね?オカンかね?仕事中に電話ばしたらあかん言っとろうがね!元気じゃちゅうに!オカンも元気かえ?そうじゃろーも、聞いとらんがね、そんなこと。え?今度、買う、健康器具?通販?ロデオボーイ?そんな効果しらんがね!少しはおとなしか出来んかね!帰るっちゃ、年末ね・・、帰る言うとろーも!・・」
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by under-heart | 2006-12-10 21:58 | beyond description

オイオイ

「お~い!見つかったぞぉー!」
「あ、あんたぁ!!」

「ほんと、馬鹿よねぇ!役立たずのウスラトンカチの木偶の坊だよ!あたしがあれだけ止めたのにさぁ、ちょっとウチの娘が帰ってくると知ったら身の程も知らずに海に出ちゃうんだから!こんな時化の海で何が取れるって言うんだよ!船から何まで全部引っぺがされて命があっただけでめっけモンさあ!前々から馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけどね、まったくここまでのロクデナシだとは思わなかったよ。はぁ~、あたしは亭主には運が無いねぇ。運が無いよ!治るまであたしが働きでも見つけなけりゃいけないし、この、馬鹿亭主!しっかり寝てるんだよ!」

「今ね、組内の方々やお世話になった隣組の方々に丁~寧にお礼言って来たからね。世話のやける亭主なんだよぉ、あんたは。・・笑ってやがる。あのね、もう少しであたしを若くして後家にするところだったんだよ!若いが余分だ?生意気なこと言ってんじゃないよ!いいかい?そんなにあたしが若くないってんなら、よ~くお聞きなさい。この皺の一本一本がね?なぜ出来たのかをね?ちょっとでも考えてね?あ、あんたはね、あたしの事をね、か、考えてくれた時があるのかえぇ?お前さんはぁオイオイオイ(涙)。あたしがまだ15の時だよ?あんたがウチのおとっつあんの前に土下座ぁ構えてさぁオイオイオイ・・」

『娘さんをくだせえ!なに?だめですかい?若すぎるって、お父さん、こっちは負けたら示しがつかねぇ、死ぬ覚悟でやってきてるんですぜ!』
なんて、もともと気が小さいくせに、あんたは緊張で目を真っ赤にして意気込み着物を払うとサラシの中に一本隠してたんだから、こっちが驚いちゃったよ。
『さあ、駄目ならここで腹を切る覚悟だ!お父さん、これでも駄目と言い張りますかい!』
『まあ待て、ともかく、既に腹から滲み出てる赤いもんは何だってんだい?』
『これですかい?これぁ、この大一番に失敗しちゃあいけねえから、今朝の朝一で練習してきた真っ赤な血ですぜ!さあ!こちとら準備は万端!あんまりまごまごしてると、こっちもまた、切り方忘れちゃいけねぇから、ちょっと練習しますぜ!痛てぇ!』

「あたしもさぁ、ここまで命を掛けて愛してくれるんだもの。と思ったからさぁ、強引にでも一緒んなっちゃったけど、良く考えれば、そんときに『馬鹿』だと気付けたのにねぇ?まったく、それからあんたは博打に暮れちまって、村ぁ追い出されて、何も知らずに付いて来ちゃったもんだからぁ・・。ここからだよぉ、あたしの不幸はさぁオイオイオイ。あたしは知り合いの誰一人いないこの町でね?あんたは産まれ故郷だからいいよ?この、顔の皺がね!お他人様に頭を下げれば一本増え、子供が泣く度に一本増え、借金取りが戸を叩く音で一本増え、あんたが海に出て、帰ってこない度に一本増えるんじゃないか!ばか!ばか!ばか!」

「でもさぁ、一度でもさぁ、あたしが好きになった人だからさぁ。『幸せ』じゃあないけどさぁ。馬鹿でもいいからさぁ。頼むから、長生きしておくれよ?」




          『意見するのは親身の人と 思いながらも恨めしい』




「何言ってんだよ、あんた。そりゃそうだよ。まだ死なれちゃあ、困るよ?保険に入ってもらってからじゃないと・・」
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by under-heart | 2006-12-06 21:15 | beyond description

不夜城

「いや、こういう所、初めてで・・、
え?はい。じゃ、じゃあ、いだだきます。か、かんぱい・・。」

「ごほっ、ごほっ、なんですか?これ?え?ウイスキー?ボク、だめですよ、やっぱり、ウーロン茶下さい。なんですか?何言ってんですか?先輩、やめて下さいよ。ちょっと、ちょっとお姉さん、薄めればってちょっと・・。じゃあ、あと、少しだけ・・。」

「あ゛ー、え?確かに、さっきよりはいいですけど、え?なんか、話って、何はなしていいかわかんないですよ。え?先輩、おっぱいさって、な、何言ってるんですか!お姉さんも『いいわよ』じゃないですよ!え?なんですか?え?まだ?って、何が『まだ』なんすか?え?いや、まだですけど、なんすか?!赤いって、べ、別にかわいくないですよ!ちょ、もういいですって、お姉さん、ちょっ、イッキってなんすか?え?イッキですか?男らしいって、ちょ、勝手に盛り上がらないで下さいよ!ちょっと!ちょ、じゃ、じゃあ、最後ですよ?最後・・・。」

「ぷはーっ、え?そうですか?なんだかもう、あ、味が、ゲップ、分からなくなってきちゃいましたよ・・ゲップ。あー!だから、もういいですってちょっと!先輩だって飲んでないじゃないですか!ズルイですよ!一人だけ!って、え?な、イッキ・・、あ・・。すごいっスね・・、え?次?また僕?え?無理ですよ、もう、飲めないですよ!なんスか『寒い』って!え?あ!だから、ちょっと、肩組まないで、肩、やめて。ちょ、そこ!『ハイハイハイハイ』じゃないですよ!あー!もう!・・・。」

「カーッ、ああ、なんか、わけわかんなく、ゲップ、なっちょいましたよ。あ゛ー。え?何か飲みたい?いいんじゃ、ゲップ、ないすか?飲めば?え?フルーツ?あー、勝手に、って、先輩、どうなんすか?これ?いいんすか?こんなんで?え?明日、学校っスよ!こんな、え?親が、僕はですね、ゲップ、親に授業を掛けて苦労するほど、甘い卒業じゃないんスよ!ちょっと!聞いてるんですか!だから、肩組むな!肩!いい!あんたもね、そんな、服を露出した肌を着て、親に見せる顔が見て見たいよ!え?違う?って、なんだよ!あんた、くそ、赤くなって、可愛いってな!あんた!飲めないと思ったら大間違いだぞ!注いでくれよ、注いで!!」

「うえっぷ、ほら!見た?ねえ、そっちも!見た!ねえ、ねえってば!だから言ったでしょ?違うんだよ、姉さん。え?あんたどこよ?産まれ?・・・え?ボクと一緒じゃないスか!なんなんすか!言ってじゃないすか、水くさいじゃないでの!さ、じゃ飲み、ゲップ、ましょうよ。え?何飲むんスか?え?どんぶりで飲むんスか?違う?ドンブリを飲むんスか?ピンクの?まあなんでもいいスよ、ドンブリでも何でも頼んで下さいよ、だはははは・・・・・」




        『赤い顔してお酒を飲んで 今朝の勘定で青くなる』



「か、かかちゃん!お、オレだよ!オレ!ちょっと、お店入って、お金が足りなくって、今日中に銀行に振り込んで・・・・」
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by under-heart | 2006-12-04 19:30 | beyond description