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MILLION DOLLAR BABY

大学に通って、友人、知人が増え、彼らを集めて、催しなどを企画するほど、充実していた時期があったのですが、自分をぶつけ時間を省みず生活している内に、気付くと周りはほとんど誰もいなくなり、卒業を迎えました。

そんな時期に、あたしの唯一の小さな楽しみは、早起きをして新宿の映画館に平日朝一番の映画を見に行く事でした。

新宿の朝はどんな天気でも決まってどんより曇り、朝を歓迎していません。どこか眠たげな繁華街に入り、ゴミ捨て場に積まれた大きな袋をいくつも通り過ぎながら映画館に向かいます。

この街はもしかすると日本で一番込み合う街なのかもしれません。その為の新宿の大きな映画館なのですが、平日の朝一の映画館は静かで空いていて、でも、前日の夕方からの大勢の観客の熱気が少し残っている様な気がして、それが、一抹の寂しさを纏ってのです。

前日は賑わっていたけれども、今は誰もいない。
その自分に似た寂しさは「もう、この時間は誰にも邪魔をされない。誰も入ってこない」という安心感と共感をあたしに与えてくれました。

新宿で見た最後の映画が「ミリオンダラー・ベイビー」でした。


前回の記事でも推奨した映画で、この度TV放送されました。
それをビデオ録画で本日見る事が出来たのですが、民放の為、吹き替えとCM、サイズ縮小とシーンカットの為、あの時の魅力は半分以下にされていたのですが、それでも、痛いくらいの衝撃がありました。

この映画は人間を見つめすぎている為に、地上波で放送されていいのか?と疑問に思うくらい真実を如実に写します。そこでは一つの強烈な人間が映し出され、しかし、その生き方は必ずしも正しくはなく極端に偏っている為に、製作者側も見る側の道徳や観念を信じ、強くテーマを訴えかけているのです。

この時代に生まれると、あらかじめ何もかも用意されている事が多いものです。
あたしはこの頃から、しかしそれは簡単に消えてなくなるモノだと感じ始めていました。

「自分を守れ」

イーストウッドのこの言葉は、人間はきっとずっと初めから何も持っていないからでしょう。
そして、守りたい事の出来たときの重要さも含み。

「Mo Chúisle」
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by under-heart | 2006-12-11 23:25 | by the wey

わかってぇ?

「いや~ん、
だから言ってるじゃないのォ、あたしは何にも欲しいものなんか無いのよォ、ねぇ?わかってぇ?ただね、あたしのね、ママがねぇ?こないだも言ったでしょう?今ねぇ、病気で寝たきりなのぉ?アタチねぇ?仕事が終わると、ずーっとママの看病してて、寝る暇もないのぉ?わかってぇ?今のアタチのたった一人の家族なのよぉ?今も一人で、寒い病室で咳きをしてるわぁ・・。ううん、違うの、泣いてないの。そのママがねぇ?たまに、うわ言の様に言うのよ?ねぇ?
『私の昔の憧れの女優はね、ジェーン・バーキンとグレース・ケリーなのよ・・』
・・映画好きなママなのよ。そんなママにどうしてもプレゼントを贈りたいんだけど、何を贈っていいかわからないし、ママの入院費で精一杯の暮らしだし・・。ううん、違うの、泣いてない、でも、ちょっと、ごめんなさい・・。ねぇ?わかってぇ?ね?・・わかった?嬉しい!・・あ!はーい!ごめんなさい、指名入っちゃったのぉ。また来るからねぇ?ゆっくりしててねぇ」

「ありがと~う!こないだねぇ、ママぁ、すっごく喜んでてねぇ?病室の目の届くところにいつも置いててねぇ?看護婦さんにバッグを褒められる度に『娘のいい人にプレゼントして貰ったんです』なんてぇ、言ってるのよぉ?もお、ママったら、気が早いのぉ。わかるぅ?いや~ん、ちょっと、照れるわぁ!・・・ハァ、でもねぇ?昨日からママねぇ、ううん?ごめん、なんでもないの。こっちの事だから、・・ハァ、ごめんね。・・・ハァ。・・・ハァ。・・え?話してって・・。でも・・、せっかくなのに、悪いわよぉ、こんな話。・・そう?・・あのね、ママね、昨日から熱が下がらなくってぇ、それでね、アタチに言うのよぉ?ねぇ?わかってぇ?ずっと病院で寝たきりでしょう?だから、また、外に出てみたいわって、遠い目をしながら、弱弱しく言うのよぉ・・、ごめん、シクシク。それでも、あたしはどうする事も出来ないじゃない?せめて、車があればとは思ってもね、あたしにはそんな力は無いのよ・・、ねぇ?シクシク。アタチはママの為に車一つ買えないのよぉ?そんな事をねぇ、思うと、ねぇ?わかってぇ?あたしって、惨めよねぇ、そしてさぁ?情けない女なのよぉ、シクシク、シクシク。もうダメだ、あたし、田舎に帰ろう。田舎に帰って、ママと二人、誰もいないところで、ひっそりと、二人で、誰にも気付かれず、ひっそりと、・・え?わかった?本当にわかったの?え?嬉しい!あ!はーい!じゃ、ごめーん!指名入っちゃった。まったねー!」

「ああー!久しぶりぃ~!どうしたのぉ?納車の時以来じゃない?待ってたのぉ~よぉ~。もう!寂しかったのよぅ!わかるぅ?・・あれ?どうしたのぉ?ちょっとやつれたのぉ?元気ないねぇ?あれから車はチョ~調子いいのよぉ?えっとねぇ、箱根でしょう?草津でしょう?鬼怒川でしょう?下呂も、え?そ、そう?そうそう、だって、お母さん温泉好きだから!大丈夫、大丈夫、病は気からっていうじゃない?ねぇ?車が来たら随分気が強くなってねぇ?しかも、生きてるウチに、早くアタチのいい人に会ってみたい。お礼を言わなくちゃ、って、早く会わせろ会わせろって、うるさいのよぉ?ねぇ?わかるぅ?いや~ん!・・え?でもね、ほら、あたしも昼間看病とか家の掃除とか、ゴミ捨てとか、いろいろ忙しいから、その内、ね?わかってぇ?ねぇ?だから、会えないのよ?ね?会えないの。元気よ?たしかにね、元気なのよ?昨日までは・・。
昨日までは・・。ねぇ?昨日までは、の、話なのよぉ・・?・・ハァ。・・・ハァ。・・・・・ハァ。・・・今日は何も聞いてくれないのねぇ?ううん。いいの、わかってるの、アタチは店員であなたはお客様だもの。大切な、大切な、お・きゃ・く・さ・ま、だもの。そんな話は迷惑だって事、ごめんね、アタチのたった一人のママだから、ちょっと、寂しかっただけなの。わかってぇ?だけど、その寂しさを話せる相手はあなたしかいなかったのねぇ・・。ごめんね、結局、他人だもんね、アタチの早とちりよ。ルール違反よねぇ、ごめんね。わかってぇ?もう。言わないから。ね?ごめんねぇ?わかってぇ?ごめんねぇ?・・・え?聞く?話?聞く?え?ほんと?聞く?聞くのねぇ?
そうなの!アタチのママが昨日からねぇ?危篤なのよぉ?それで、アタチの手を握って言うのよぉ?かすかな声でいうのよぉ?ねぇ?わかってぇ?
『一度だけでいい、また、あんたと、二人で、自分たちの家に、家に、「家」に、・・・いや、「マンション」でもいい。で、暮らしたかったぁ・・』
でも、そんなこと無理だわー!あたしになんか、絶対無理だわー!うわーん!うわーん!これでこのまま、ママを失ったらもう生きていけなーい!うわーん!わかるぅ?今でさえ、看護疲れとこんな生活にもう、生きてる意味なんて解らないし、ママだけが支えなの。その、ママが、その、ママが、うわーん!無理だわー!わかってぇ?マンションなんて、無理だわー!え?何よ?いいの、まわりが見てようが何されようが、アタチの話を聞いたあなたのところで大声で泣きたいの。うわーん、うわーん、うわーん、うわーん!家、家、お家ー!うわーん!・・ええ!わかったぁ!ついに解ったのねぇ!うれしーい!!」




        『帯も出来たし箪笥もできた そろそろ旦那と別れよか』



「ええとねぇ、今度はねぇ、ママがねぇ、南の島でねぇ・・。え?何?電話ですか?はい。ちょっとごめんなさい・・・」
「なんね?オカンかね?仕事中に電話ばしたらあかん言っとろうがね!元気じゃちゅうに!オカンも元気かえ?そうじゃろーも、聞いとらんがね、そんなこと。え?今度、買う、健康器具?通販?ロデオボーイ?そんな効果しらんがね!少しはおとなしか出来んかね!帰るっちゃ、年末ね・・、帰る言うとろーも!・・」
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by under-heart | 2006-12-10 21:58 | beyond description

ボヘミアン

思う事ありきなんですがね、

ゴミ捨て場をよく漁る友人つうもんを持ってるんですわ。
いえね、ボヘミアンではなくてですね、社会人として責任を持って仕事に励んでいる傍ら、粗大ゴミや燃えないゴミ、資源ごみの日を見繕って、ゴミ捨て場を漁っちゃあ慢画やら電化製品やらをもって帰ってくる。
古いシンセサイザーなんかを見つけては大喜びで、ハンダゴテ片手に弄くり廻してる。この間なんかは壊れたターンテーブルを見つけて修理の見積もりに出したところ、なんがかんだ文句を付けて結局タダで修理してもらいやがって、ネットで売り飛ばしやがった。
なかなかのいい商売だから、

「やっぱ人間は下をむいて歩くべきなんだな」
「うるせえ」

それだけには思う所があるようで。


犬の散歩をするとしまさぁな?
犬つうもんは四つんばいになって顔面を地面すれすれに鼻を利かせて歩き回る。
穴を掘れば、必ず顔面をぶち込んでどつきまわす。
先ほどの通り「下を向いて歩く」んですが、
考えるにこれ結構、根性のいる動作だと思うんですわ。

未知でも既知でも構いませんが、何か出くわした時「こんにちは」を言うまでも無く、必ずモノが眼前にあるという。

人間様は探し物などをするときには、ほとんどの場合手が先に出る。
足場を探す時などは、そろりとつま先から身体を引っ張るように進む。

猜疑心を持ってモノに接する時は必ず顔を最後に持ってくるんですな。

感覚器官の発達の過程が先か、進化の過程が先かはわかりませんが、犬の根性はたいしたもんだと恐れ入ります。精神的にボヘミアンなんでしょうな。また、こんな人間がいたらそれはそれで面白い方なんでしょうな。


お話変わって、あたしも最近よく口にするんですが、
「○○さんにヨロシクお伝えください」
これ、おかしいよねぇ?

何をヨロシク言うのだろうねぇ?
普段の挨拶で「ヨロシク」とはあまりいわないもんだから、せいぜい、頼み事の時の台詞でしょう?

「△△さんがヨロシク言ってたよ」

・・・何を?

だ、談合の件?
た、耐震偽装の件?
せ、選挙違反の件?

に、握られてんのかい・・・?
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by under-heart | 2006-12-09 21:02 | by the wey

オレタチフューチャー

県の国立大学医学部で、学生による企業へのプレゼンテーションがありました。

製薬会社から町工場まで、中小企業、大企業含めてのその会は、医学部側から今後の医療の発展を見据えた「こういうものがあったら便利」商品の提案でした。

聞いた話を要約するに、
「パソコンへ『患者の年齢や性別』といった一般情報と、『患者の体質や体温、血圧』などの症状の情報を入れると、患者の病名と措置方法、適応する薬が表示されるソフトを開発していただきたいのです」

・・・・・。

医者いらねえじゃん?



「こんなこといいな。出来たらいいな。あんな夢こんな夢いっぱいあるけど」

アニメ「ドラえもん」の主題歌の一部です。
ドラえもんが生まれるのは22世紀ですからまだしばらく先の話ですが、藤子不二雄が夢見たであろう21世紀という未来にあたし達は生きているのです。

過去に夢であった月面に人類が到着し、結核に対する抗生物質が発見され、テレビ電話は普及し、クローンが誕生し、インターネットで世界と通じる事が可能となりました。
「医学部の学生達の考えはね、ドラえもんの道具を出してくれと言うような発想なんだよね」
と、あたしにお話してくれた方の声ですが、
これには二通りの解釈が出来て、

ひとつ目は、ドラえもんの道具を作る事を真面目にプレゼンテーション出来る時代になったと言う事。つまり、昔では夢物語だった道具が、技術の進歩により発明可能と思わせる域に時代が追いついて来たと言う事。

ふたつ目は、未来の想像図がドラえもんの域を超えていないと言う事。つまり、1970年に連載が始まって以来、時代は進み未来へと確実に歩んで来たが、あたし達の想像力はドラえもんを超える事が出来ないでいる、と言う事。

一つ目についてはポジティブな意見でよろしおますが、ふたつ目については大変に問題であろうと感じます。
今、この時代においても、想像する未来の世界が、

『円錐形のメタリックなビルが立ち並び、空中を縦横無尽に半透明の筒がぐるりと配置され、その中を卵型の乗り物がすいすいと進み、ツインビーの様な小型飛行機が飛び交っている。人々は宇宙服と呼ばれる、戦隊ヒーローのヘルメットを取った様な服を着て、プシューと音がする自動ドアの中に入ってゆく』

少なくとも、1970年には感じなかったリアリティーが、未来へのリアリティーが現代にはある。
その現代においても未来の想像図を改築しないのは(おそらく出来ないのか?)、ただの怠惰か逃避でしょう。

なぜ未来を夢見る事から逃避などする必要があるのか?
それは、21世紀の現実は思っていたより夢が無かったらです。

宇宙という遥かなる可能性に夢を託した輝かしい未来とは裏腹に、日本は日本のまま、ますます汚れ、資本主義に基づいて町並みが作られます。
不景気に煽られ不正問題が次々に発覚し、格差は一層深くなり、人と人との当たり前に見える関係は崩れ、家族殺人やいじめ自殺などが大きく問題視されています。

これでは、たしかに、30年前からの輝ける未来の姿を見据え、ドラえもんに夢を託し逃避している方が楽です。いつか、あんな未来がやってくるんだろうな、と。

しかし、それは正しい未来でしょうか?


司馬遼太郎が「21世紀に生きる君たちへ」という、小学生の教科書へ、初めて子供へ向けて書き下ろされた随筆があります。

その文章の中で、
「私の人生は、すでに持ち時間が少ない。例えば、二十一世紀というものを見ることができないにちがいない。君たちは、ちがう。」


藤子不二雄が描いたドラえもんの未来、手塚治虫が描いた永遠の未来、大友克洋が描いた機会都市の未来、武論尊・原哲夫が描いた荒廃した未来、宮崎駿が描いた荒廃後の未来、水木しげるが描く死後の未来。


その現実を見据え、あたし達はどの様な未来へ進んで
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by under-heart | 2006-12-08 22:58 | at a loss

涙舐めるバンド

c0094707_17462527.jpgジャケ買いをするとして、
これはいったいどうでしょう・・??











大学に入学し、鬢・ラディンの様に顔に、円を書くような髭の生え方をした友人が出来ました。
その友人は大学まで車通学しており、事あるゴトに、他にやる事はあふれていましたが、明日へ向かい、孤独なドライブに連れて行ってもらいました。

その車内で70%の確立で流れていたアーティスト。
ファンキーな歌詞と、もたれ掛かってくる声は一度聞いたら忘れさせない説得力があります。
出会いは衝撃でした。

「なみ~だ~、なーみだーなーみだーなーみーだー、舐めてー」
「なめ~て~、なーめてーなーめてー、イエー」

・・・???

CD代えても、いい??


そして出会いは、時としてドラマを生みます。
そのバンドはその年の学園祭にやってきました。
三バンド来たなかで、盛り上がり最高潮はふたつ目の「レンチ」という台所で聞きそうな名前のバンド。
真打ちとして登場する「涙舐めるバンド」の前に客はほどんど引いてしまっていました。

「シアターブルックです!イエー!前に!前に!」

会場の中で一人浮くようなかなりのハイテンションでライブを始めると、自分勝手にギターを弾き続け、どんどん悦に入ってしまい、リズム隊が目を合わせては苦笑を浮かべるほど。
しかし、その破天荒なギターは聞くもの全てを悦に入れ込んでしまう魅力がありました。

「だろ?ほんま、なぁ?だから、行くべきだって言うたやん。年末行くやろ?もうチケット取ったで」
ライブ後、へたくそな関西弁で髭の中の唇を賢明に動かし、興奮した鬢が言いました。

そして、その年の12月30日。
新宿リキッドルーム。

程よい集客の中、再びエゴイズムのまま悦に入りまくる佐藤タイジ。
「新曲です!『オレタチフューチャー』」

お?俺たちフューチャー?

ライブ後、童貞の友人Kは、
「前にいた女の子が俺の足の上にコーラ落としたでしょ?あれ、絶対わざとだよね?目が会ったもん。絶対」
こんな事を力説しながら、話は二曲あった新曲へ移り、
「『オレタチフューチャー』じゃあ売れんと思ったんやろな。もう一曲の方がカッコよかったもんな」
「だな。『オレタチフューチャー』じゃあなぁ?」
「おお、『オレタチフューチャー』だもんなぁ」

とはいえ、もう一つの新曲の名は覚えていられなかった。


そしてまた、明日への孤独なドライブで未来を不安に思う日々が続きました。

そんな一枚。
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by under-heart | 2006-12-07 18:29 | at a loss

オイオイ

「お~い!見つかったぞぉー!」
「あ、あんたぁ!!」

「ほんと、馬鹿よねぇ!役立たずのウスラトンカチの木偶の坊だよ!あたしがあれだけ止めたのにさぁ、ちょっとウチの娘が帰ってくると知ったら身の程も知らずに海に出ちゃうんだから!こんな時化の海で何が取れるって言うんだよ!船から何まで全部引っぺがされて命があっただけでめっけモンさあ!前々から馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけどね、まったくここまでのロクデナシだとは思わなかったよ。はぁ~、あたしは亭主には運が無いねぇ。運が無いよ!治るまであたしが働きでも見つけなけりゃいけないし、この、馬鹿亭主!しっかり寝てるんだよ!」

「今ね、組内の方々やお世話になった隣組の方々に丁~寧にお礼言って来たからね。世話のやける亭主なんだよぉ、あんたは。・・笑ってやがる。あのね、もう少しであたしを若くして後家にするところだったんだよ!若いが余分だ?生意気なこと言ってんじゃないよ!いいかい?そんなにあたしが若くないってんなら、よ~くお聞きなさい。この皺の一本一本がね?なぜ出来たのかをね?ちょっとでも考えてね?あ、あんたはね、あたしの事をね、か、考えてくれた時があるのかえぇ?お前さんはぁオイオイオイ(涙)。あたしがまだ15の時だよ?あんたがウチのおとっつあんの前に土下座ぁ構えてさぁオイオイオイ・・」

『娘さんをくだせえ!なに?だめですかい?若すぎるって、お父さん、こっちは負けたら示しがつかねぇ、死ぬ覚悟でやってきてるんですぜ!』
なんて、もともと気が小さいくせに、あんたは緊張で目を真っ赤にして意気込み着物を払うとサラシの中に一本隠してたんだから、こっちが驚いちゃったよ。
『さあ、駄目ならここで腹を切る覚悟だ!お父さん、これでも駄目と言い張りますかい!』
『まあ待て、ともかく、既に腹から滲み出てる赤いもんは何だってんだい?』
『これですかい?これぁ、この大一番に失敗しちゃあいけねえから、今朝の朝一で練習してきた真っ赤な血ですぜ!さあ!こちとら準備は万端!あんまりまごまごしてると、こっちもまた、切り方忘れちゃいけねぇから、ちょっと練習しますぜ!痛てぇ!』

「あたしもさぁ、ここまで命を掛けて愛してくれるんだもの。と思ったからさぁ、強引にでも一緒んなっちゃったけど、良く考えれば、そんときに『馬鹿』だと気付けたのにねぇ?まったく、それからあんたは博打に暮れちまって、村ぁ追い出されて、何も知らずに付いて来ちゃったもんだからぁ・・。ここからだよぉ、あたしの不幸はさぁオイオイオイ。あたしは知り合いの誰一人いないこの町でね?あんたは産まれ故郷だからいいよ?この、顔の皺がね!お他人様に頭を下げれば一本増え、子供が泣く度に一本増え、借金取りが戸を叩く音で一本増え、あんたが海に出て、帰ってこない度に一本増えるんじゃないか!ばか!ばか!ばか!」

「でもさぁ、一度でもさぁ、あたしが好きになった人だからさぁ。『幸せ』じゃあないけどさぁ。馬鹿でもいいからさぁ。頼むから、長生きしておくれよ?」




          『意見するのは親身の人と 思いながらも恨めしい』




「何言ってんだよ、あんた。そりゃそうだよ。まだ死なれちゃあ、困るよ?保険に入ってもらってからじゃないと・・」
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by under-heart | 2006-12-06 21:15 | beyond description

晴れ、時々・・

「と、ともちゃん・・」

「ま、松本さん・・」

「お、奥田さん・・」

先日、大好きbookoffで見つけた三人さん。
「the brilliant green」 [the brilliant green]
「Let’s go」        [ウルフルズ]
「29」            [奥田民生]

〆て¥315-
ジャンクコーナーから彼らを救い出しましょう。

どれも口元を緩めてよだれを垂らしながら聞けるハズレ無しの良いアルバムです。
民生さんが若いです。
「これ買うの二度目だ・・、どこいったんかなぁ」
特にウルフルズは最高です。
「ジョンBチョッパーええなぁ」
川瀬智子がエロいです。
「どれも同じ曲かなぁ」

とにかく、
川瀬智子がエロいです。
「安野モヨコの漫画みたいな女の人だなぁ」

c0094707_1942165.jpgあの、何も考えてないような、頭空っぽでぜーんぜん努力してませーん、と言った風な濡れた声は倖田來未より断然エロいです。
「さあ男ども、コレだろ?コレがエロいんだろ?コレが欲しいんだろ?」
そんなエロさではなく、
「帰れって言ったって、どこに?あたし、家、ないんだもん・・」なんだか、こんな無邪気なエロさ?当たり前のエロさ?そこにあるエロさ?ああ、もう、わからん!スケベなヤツは勝手に聞いて頂戴!安いから!
そんな一枚。
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by under-heart | 2006-12-05 19:17 | by the wey

不夜城

「いや、こういう所、初めてで・・、
え?はい。じゃ、じゃあ、いだだきます。か、かんぱい・・。」

「ごほっ、ごほっ、なんですか?これ?え?ウイスキー?ボク、だめですよ、やっぱり、ウーロン茶下さい。なんですか?何言ってんですか?先輩、やめて下さいよ。ちょっと、ちょっとお姉さん、薄めればってちょっと・・。じゃあ、あと、少しだけ・・。」

「あ゛ー、え?確かに、さっきよりはいいですけど、え?なんか、話って、何はなしていいかわかんないですよ。え?先輩、おっぱいさって、な、何言ってるんですか!お姉さんも『いいわよ』じゃないですよ!え?なんですか?え?まだ?って、何が『まだ』なんすか?え?いや、まだですけど、なんすか?!赤いって、べ、別にかわいくないですよ!ちょ、もういいですって、お姉さん、ちょっ、イッキってなんすか?え?イッキですか?男らしいって、ちょ、勝手に盛り上がらないで下さいよ!ちょっと!ちょ、じゃ、じゃあ、最後ですよ?最後・・・。」

「ぷはーっ、え?そうですか?なんだかもう、あ、味が、ゲップ、分からなくなってきちゃいましたよ・・ゲップ。あー!だから、もういいですってちょっと!先輩だって飲んでないじゃないですか!ズルイですよ!一人だけ!って、え?な、イッキ・・、あ・・。すごいっスね・・、え?次?また僕?え?無理ですよ、もう、飲めないですよ!なんスか『寒い』って!え?あ!だから、ちょっと、肩組まないで、肩、やめて。ちょ、そこ!『ハイハイハイハイ』じゃないですよ!あー!もう!・・・。」

「カーッ、ああ、なんか、わけわかんなく、ゲップ、なっちょいましたよ。あ゛ー。え?何か飲みたい?いいんじゃ、ゲップ、ないすか?飲めば?え?フルーツ?あー、勝手に、って、先輩、どうなんすか?これ?いいんすか?こんなんで?え?明日、学校っスよ!こんな、え?親が、僕はですね、ゲップ、親に授業を掛けて苦労するほど、甘い卒業じゃないんスよ!ちょっと!聞いてるんですか!だから、肩組むな!肩!いい!あんたもね、そんな、服を露出した肌を着て、親に見せる顔が見て見たいよ!え?違う?って、なんだよ!あんた、くそ、赤くなって、可愛いってな!あんた!飲めないと思ったら大間違いだぞ!注いでくれよ、注いで!!」

「うえっぷ、ほら!見た?ねえ、そっちも!見た!ねえ、ねえってば!だから言ったでしょ?違うんだよ、姉さん。え?あんたどこよ?産まれ?・・・え?ボクと一緒じゃないスか!なんなんすか!言ってじゃないすか、水くさいじゃないでの!さ、じゃ飲み、ゲップ、ましょうよ。え?何飲むんスか?え?どんぶりで飲むんスか?違う?ドンブリを飲むんスか?ピンクの?まあなんでもいいスよ、ドンブリでも何でも頼んで下さいよ、だはははは・・・・・」




        『赤い顔してお酒を飲んで 今朝の勘定で青くなる』



「か、かかちゃん!お、オレだよ!オレ!ちょっと、お店入って、お金が足りなくって、今日中に銀行に振り込んで・・・・」
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by under-heart | 2006-12-04 19:30 | beyond description
「リリーの記事いい話なんだけど、ちょっと見づらい…
長いから、しょうがないかもしれないけど。」

意見をメールで友人から頂きました。
いぜんから、文が長いあたしのブログは少し見ずらいよ、と、アドバイスがあったりして、様々検討させていただいていました。

あたしは絵でモノを伝える表現力が乏しく、写真もあまし好ましく扱えない。
二つとも経験と慣れを必要とすれば、おのずとブログに差し支えは無いホドに使えるのでしょうが、あたしは文章にこだわりたい。

ですから改善策として、フォントや色を変えて構成してみたりしたのですが、

考えるに、このフォントや色の変化は、視覚的諧謔や理解力援助を狙ったものですから、あたしの中では、テレビのテロップと同義だと思えるのです。

バラエティーや情報提供番組に出演者の台詞と同じ文字が下方に出てくる。

これにより、テレビは分かりやすくなりましたが、あたしは緊張感の欠落も感じているのです。

絵や写真に乏しいあたしのブログでは、このような効果をひとつの表現手段に使ってユーモアを醸す事を狙ってみたいものの、自らの人間をえぐり描き出す文章にはこの「テロップ」を使用したくないのです。
テレビでも、人間を描くドキュメンタリーやニュース番組などにこの手のテロップが無いのと同様に。緊張感が消えて本質が隠れてしまうからです。

ファッション雑誌やグルメ雑誌などで見出しを大きく付けて説明文を小さくする強弱を演出するのはこの「テロップ」効果。
逆に小説などでこの効果が使われればあたしは興ざめです。

そう考えるからこそ、この「テロップ効果」はブログならではの面白い機能なのですが、本気の文章は演出もなにも無い構成で臨みたく思っているのです。
その上で、文章が読みづらいのはあたしの文章の力不足です。
ご遠慮なく退出下さい。その数字を見て、自分の実力を判断出来ます。
そのうえありがたく精進させて頂きます。

自分のブログですから、好き運営させていただいているのですが、小さな意地もございます。
ですので、視覚的には貧相なブログでございますから、苦手な方にはお勧め出来ません。
もし、ご理解を頂き、これからもお付き合いいただけるのであれば幸いと存じます。
今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。そしてそんな人が大好きです。


追記:先日紹介した「ミリオンダラーベイビー」が12/7の夜09:00~、テレビ東京で放映されます。必ず見ましょう。
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by under-heart | 2006-12-03 22:06 | In-bonno

リリー

「クンニだよ、クンニ。クンニが足りねぇに決まってるじゃん」

大学の卒業式の懇親会場の中、今日の悲しさと照れ隠しに酔いが手伝い、一際大きな声を張り上げて友人Kが叫んだ。

それは彼女と美味くいかなくなってしまった友人Sに向かっての誠心誠意を込めたアドバイスのつもりだった。

「え?そんなん当たり前じゃん?Sはクンニしないんでしょ?クンニしないから駄目なんだよ。長いやつ。女はそれで幸せ感じんじゃん。ねぇ、Hちゃん(♀)?」

なんとなくその言葉に説得力があったのは、Kが童貞だったからだ。
童貞がする性の話は力強い。想像力が経験を黙らせる。
みんな否定する訳でもなく、否定出来る訳でもなく、所在なさげに視線を迷わせ、
「クンニだな、S、クンニだよ」
と、話が纏まっていった。

「クンニか、なぁ・・・」

Sは説得されていた。
だいぶスペシャルな飲み込まれ方だと思う。

後日、その友人Kに尋ねた。
僕「なんでクンニなん?なんでお前が知ってるん?分かるん?」
K「ああ、リリー・フランキーが言ってたから」

至極、うすっぺらく、大笑いした。


リリー・フランキーの名前と存在は知ってはいたが、意識したのはその時からだった。

『友人とキャンプに出かけた時の事。
大荒れの天気に見舞われ、洪水で危険極まりない川に飛び込んだ。
死んだら俺はここまでのヤツなんだ』
この様な冒頭文の本をかじった事がある他、それまでは、
「エロエッセイを書く人」
との認識しかあらず、吉祥寺のスミっこの店でサインを見つけたくらいだった。



それから約一年後、僕が東京で出会った一番綺麗な人と最後の食事をした。
「『東京タワー』読んだ?
あたし、一昨日全部読み終わったんだけど、電車の中で涙が止まらなくって。
その話、会社でしたらみんなに笑われちゃった。
でも、すごく良い本だったの」

ああ、リリーフランキーの。
と思い、なんだか悔しいから読む気にならなかった。


それからしばらく、その「東京タワー」が今とても売れている。

読者層は20代から30代の方が多く、特に自立して一人で暮らしている方には感銘を強く与えているらしい。
「東京タワー症候群」などと言って、一人暮らしから実家に帰り、家族と暮らす事を決める若い人達の流れも増えているらしい。

この話は、主人公「ボク」と母親「オカン」を中心にした「家族」の物語。
と、共に、

主人公「ボク」の母親「オカン」に対する情けない物語。
情けないことは悪いことじゃない。
当たり前のこと。

先日、テレビでも放送されていた。
放送前に妹から、
「このドラマ面白いかなぁ?」
「本、読まなきゃ駄目だろう。本読んで感動出来ないと、テレビ見ても本当の事が読み取れない気がするよ?」

そんな事を言ったなぁ、なんて思いながら、ウチの町の図書館でたまたま「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」を見つけた。
「時々オトンって・・・」
ダサい名前だな。



僕は父親を失っていた。

時代が求める時に応える作家は出てくるものなんだ。
この作品を読んでそんな事を思った。
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by under-heart | 2006-12-02 21:35 | at a loss