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by under-heart
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2007年 01月 14日 ( 1 )

スモモ飴  ②話

 仕事の話を頂いたのは10月の下旬だった。
 映画制作会社に勤める大学の友人M君と新宿の路上で企画書を頂いて、少し打ち合わせした。
 仕事内容はといえば、
「会社内である企画(映画の原案)が持ち上がった。その企画を元にシナリオライターを数人使用し、競わせる形でアイディアを募る。出来の良いものがあれば、そこから打ち合わせ、形にしてゆく」
 締め切りは十一月下旬。
 時間がなさ過ぎるのは分かった上で、乗るか反るか?給金なんてパチンコで10分もあれば飲み込まれてしまう程度だが、一ヶ月、勝負してやろうと思った。

 浅草の浅草寺はさすが正月の五日になっても人であふれていた。
 あたし達は浅草観光客の例に倣ったように、お土産屋のハッピや鬘に騒ぎ、無数のおせんべい屋の前を「美味しそう」と言いながら買わず、揚げ饅頭を食べ、ありがたい煙を頭や顔にたっぷりとかけて、境内に入った。
 例に倣い、二人とも一年の幸福をお願いする。こんな時にしか拝まない神様なのだけど、こういう日本人の行動は身体の中に染み付いてしまっているらしく、他力本願だろうが、ずうずうしかろうが、あたし達は買う、たった五円で幸せを買う。

 それから辺りを散歩すると、猿回しが猿をまわしている為に人だかりができている。
 戌年の頭に犬猿の仲の猿を見世物にするとは太い根性だと感心し、見入っていると、あたしもあの娘も曲芸を見るのが初めてだったから、喜び騒いで気付けば30分も経ってしまった。
 このあたりになるとすっかり「遅刻」の件は忘れてしまっているようで、やはり女の子はこうであって欲しいと思った。ご利益、ご利益。
 冷えた身体を温めようとテント小屋のような出店の中で甘酒を頂き、再び浅草の街を縦横にあるいていると、なんだか眼前に「浅香光代」と大きく書かれた大きなビルが建っていたので、大きな魅力を感じ、お邪魔させてもらった。
 なんの事はない、雷おこしを進められ、食べさせてもらっただけだったが。

 ところで、勇み原稿に取り掛かったのだが、この「パレエ」の企画が困ったことになっている。
 企画力が貧弱すぎるのである。友人Mに再び連絡を取り、この企画の趣旨と原点を今一度詳しくたずねると、以下の理由から立ち上がった企画らしい。

 答え
1 最近バレエが流行っている。
2 最近某有名大御所女優がテレビに映ると視聴率が上がる。
3 少林サッカーって面白いよね。
 以上の条件より、某有名大御所女優を主役に使ったバレエの物語を少林サッカーの様にCGを使ったぶっ飛びコメディーに仕上げる事は、良い作品になる必要条件を満たす。
 よって、この企画の立案が証明される。

 あんちょくぅ~。

 このような疎漏なアイディアで各々のシナリオライターに投げっぱなしにしてみる態度は、太っ腹としかいいようがないが、とにかく頂いた方は企画案に乗せてある仮プロットを見て、

「  主人公、悪者に追われ、捕まりそうになる
   肩に手が掛かる瞬間、足を上げ振り払ったかと思うと、
   主人公『あんたたち、なにすんのよぅ!』 
   そのままバレエを踊り、回りはじめる。
   高速回転から繰り出す蹴りで悪者を一蹴し、竜巻を起こす  」

 唖然。
「条件だけ満たしてくれたら、後は自由に書いてもらって結構だから。あ!そうそう、視聴者層におばさんを取り込みたいかぁさぁ、どこかで韓国俳優入れといて、じゃ」

 この製作会社、一昨年前に人気漫画の映画化に携わり大ヒットをさせた。
 こういう企画も行動力旺盛なる仕事姿勢のひとつなのかもしれないが、いかんせん、ド素人のあたしが見るかぎり、どうもバレエや映画を舐めてる様にしか見えない。
 駆け出しの新人であるし、こんな大きな会社に声を掛けて頂いただけでもありがたく、プライドのプの字すら持ち合わせないつもりだったが、この企画通りではイカン。
 怒りがこみ上げるあたしのシナリオの決定方針では全く条件を無視し、リアルなバレエの人間ドラマを描く。この企画会社にバレエの本当の魅力を叩きつけ、少しでも考えを改めさせてやろう。ツテで貰ったお情けの仕事だ、駄目でもともと、刺し違える覚悟で噛み付いてやろうじゃねえか。・・・ところで、

 バレエってなんだ?


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by under-heart | 2007-01-14 11:16 | beyond description