えへへへへ


by under-heart
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おてもと

「いやだよ!ねぇ、いやだってば!」
「ばかやろう!オレだってなぁ!好きで離れ離れになるわけねぇじゃあねえか!でもよう、だったらどうしろってんだ、こんちくしょう!」

「ひどいよ、ひどいよ、あんなにあたしの事を愛してると言ったのは嘘かい?嘘じゃなかったらなんとかしてよ!いつまでも一緒にいておくれよ!」
「甘ったれた事ォいってんじゃねぇやい!オレもオマエも、命の宿命ってぇもんがあるんだ、いいか?宿命と書いて「さだめ」と読むんだ、ちっきしょう!」

「さだめと読もうが、たがめと読もうがどっちだっていいけどさ、あんたとあたしがここまでずっと一緒に、寄り添ってこれたのだって、宿命じゃないのかい?」
「おう!そりゃそうともよ!オレァ、オマエが生まれた頃から知ってらい。家が隣同士と来た日にゃあ、オマエの事は昔っから家族同然と見て来たわけだ。時には親として、時には兄として、そして、時に、男として、オマエをいつまでも傍に置くと決めたのよ」

「そうでしょ?その話だって何度聞いた事か!だったらなおさらあたしを離さないでおくれよ!」
「てやんでい!ばっきゃろうめ!オレァ、オレァ、そうしてえに決まってるじゃあねか!ただよぉ、オレたちにぁ、オレ達の役割ってぇもんがあるてえもんなのよ。見ねい?隣さんも、そのまたとなりも、きっちり布団に入っておとなしく待ってるじゃあねえか?いいかい?オレたちの故郷からの同胞も、いまじゃあ誰も見えなくなっちまったい」

「そうだねぇ、田舎を出て、この江戸の都まで、箱根の関を越えるか越えれないか。みんな、あの関で捕まって使われちまったからねぇ」
「ああ、あそこは宿場だからなぁ。次々とショッ引かれちまって、今や知れるはオレたち二人だけだ。だがな、それも一生だ。例えオレらが刀と生まれて来たならば、涙ながらも人を切らねばなるめえし、その為に力一杯光らなけりゃあならねえのよ!いいかい?少しの間だったが、オマエと一緒で幸せだったぜ。オレァこの一生に、悔いはねぇよ」

「そうかい、わかったよ。あんたの言う通りかもしれないね。あたしもあんたと一緒で、これ以上ないくらい幸せだったよ。ううん、嫌な野郎と思った事もあったさ。でもね、今になって思い出そうとしても、何にも嫌な事が出てこないんだよ。あんた、最後は、最後の最後だから、力一杯、抱いてもいいかい?」
「おう、そうしろい!オレだって意地でもオマエを離さねぇ気持ちで抱いてやる。結果、この布団ごと身ぐるみ剥がされっちまうんだ。宿命ってのに、少しだけでも逆らってやるってのも乙じゃあねえか」

「ああ!あんた!来たよ!いや!なにすんの!やめて!やめて!あんた!いやだよ!離すもんかぁ!アンタァ!!」
「ヤロウ、こんちきしょう!身ぐるみ剥がしやがったな!どうしようってんだい!え?離すもんかい!このやろ!イテテテテ!足ィ引っ張りやがって!この、イテテテ!くそ、離すか!いててててて!」

パチン



         「可哀そうだよズボンのおなら 右と左に泣きわかれ」



「くすぐってぇ!ばか!何しやがる、足に落書きしやがって。え?何?「王様」?おい、ちょっと、メシを食え!メシを!こらこらこら!割り箸はゲームの道具じゃねえっての!こら、おい、束にするなぁ!束に!おい!引くな!こら!騒ぐなーーーー!」
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by under-heart | 2006-12-23 23:02 | beyond description